That Means A Lot

ゆとり世代にゆとりなどない

いるべき場所とは

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Jリーグなんて、一般人からしたらあくまで娯楽でしかないのに、自分が物心ついたころから同じチームを熱心に地元の柏レイソルを応援し続けるのは何故なのだろう。ふと思うことがある。それは他のチームが優勝トロフィーを掲げる瞬間であったり、他のチームがスター選手をとってきたり、自分の好きなチームがボロ負けしているときだったりと、ジェラシーに似た感情と同時に思い浮かぶのだけれども、京都に13-1で勝ったあの最終節では、ヘロヘロの相手に攻め込むレイソルの選手、妙な雰囲気のバックスタンド、声を枯らし跳ねる京都サポを見て勝っているのに考えてしまった。「理不尽だよね」と。

『2009年以来のJ2を戦う柏レイソル。昨年のメンバーがほとんど残り、誰もが前回降格時のような連勝街道を突き進むことを信じていたが、開幕4連勝したところで街道は曲がりくねり、やがて峠となってしまった。』

手前味噌ながら、これは夏前くらいに流行りに乗って書いた助っ人外国人列伝に自分で書いた一文である。あれから半年、終わってみれば大方の予想通りJ2を優勝し、昇格を決め、最終戦は13-1で勝ってJリーグ記録まで打ち立てた挙げ句、昨年クビにした監督が率いた横浜FCも自動昇格を決めた。側から見たら「なぜ降格したかわからない」「助っ人外国人が強すぎる」「金満」の三拍子。Twitterでは「パワハラ」とまで称された。

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ロスタイムに失点するからという理由で下平監督のクビを飛ばしてから、金縛りにかかってしまい、再び身体が動くようになったのは半年後。チームとして空白の時間を過ごしている間にJ2行きがほぼ決まっていた。スタートから設定が理不尽の小説のようなというがその小説はなんなんだ!とツッコミたくなるような2018年シーズンを過ごしてしまった柏レイソルが2019年シーズンに向けて選んだ道は『時を戻すこと』であった。ネルシーニョ監督、井原ヘッドコーチ、GMに布部氏の招聘。戦力の流出も最低限に抑えた。最初の4連勝のあとの無得点地獄こそは本当に苦しかったが、夏場までには調子が上向き、特に残りの3試合は観ていて負ける気がしなかった。これが良くも悪くも思い出補正に拍車をかけていて、普通に完敗した試合もいくらかあったし(17節愛媛戦、31節山形戦、36節水戸戦)、ネルシーニョはもう限界なんはないかと考えたくなるほどの自滅の試合もあった(39節大宮戦とか)。その監督自身が2009年に比べたらいろんな面でレベルが上がったというんだから本当にそうなんだろうけれど、決してラクなシーズンではなかったのだよと声を大にして言いたいし、昇格を決めて優勝も決めた時の安堵感と達成感は2009年よりも大きかった。その裏には夏に即戦力をしっかり補強したりと、他のJ2クラブのどこよりも「まとも」で「えげつない」ことをしていた結果でもある。

それでも、デブの社長を筆頭に、クラブの上の上へ対する不信感は拭えていない。今年はまず昇格することが至上命題であり、お隣の犬みたいになるのはもっとまっぴらごめんだったので、どんな形でも勝てば文句は言わまい。主人公とライバルの利害が一致し、背中合わせでまさかの協力体制を取るという映画のような(というがその映画とは以下略)状態であったが、その背中合わせは終わった。「柏から世界へ」なんて言っちゃってる以上、あるいは他のJ2クラブが二度と来るなと言うように、うちは本来J1の上の方を狙うチームなのである。来年はしっかりやれよ。てか、その前に痩せろ。

 

一方そのころJ1では、シティグループになったマリノスが優勝した。確かに観ていていちばん面白いフットボールをするのもマリノスだったわけで、さらに驚くのは選手もマリノスフットボールが面白いと口にする。ストーブリーグに入ってもマリノスシティグループの後ろ盾を駆使し、様々なチームから良質な選手を掻っ攫っていき、リーグに理不尽の嵐を吹かしている。黒船の上陸とDAZNマネーのばらまきは、同じ国のリーグ内で格差の拡大を実感するストーブリーグを生み出すとともに、実業団型金満チーム時代の終わりを告げようとしている。勝つためには金だけでなくビジョンを手にして、どんな理不尽でさえも厭わずに相手には味わせる時代である。
自分が同じチームを熱心に応援し続ける理由は、やっぱり「誇り」なんだろうなって思う。アイデンティティというものか。海外のチームとか、好きな女の子が好きだったから観るようになったチームとはやはり愛情の深さが違う。ただ観ているものがプロの勝負事である以上、その「誇り」を持ち続けるには勝ち続けることが一番のお薬であり、その薬が切れた時は理不尽なあの感じを味わうことになる。つまりは誇りの持続には相手に理不尽を味わってもらうしかないのである。弱肉強食な世界かつ、それを応援するのはジャンキーな趣味である。幸か不幸か、我々柏レイソルは実業団型金満チームである。来年以降、柏レイソルが生き残るには、その流れに乗り遅れず、呑みこまれず、DAZNマネーも手にして、実業団型「大」金満チームになる必要がある。

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早速今年の柏のオフシーズンは、実地調査の成果さながら、J2の対戦相手でよかったと思う選手を掻っ攫っていて、ストーブリーグの嵐の目として理不尽の風を未だにJ2に吹かせてはいるが、これはまだ偶然の産物であろう。2020年シーズンこそまた本番であり大事である。柏がいるべき場所とは、相手に理不尽を味わってもらう立ち位置なのだから。まずはありったけの札束のほかに、シティグループならぬ日立グループとして具体的かつ壮大なビジョンをもう一度用意する必要があると、年の瀬に私は考える。