That Means A Lot

幻想とじゃれあって 時に傷つくのを あなたは無駄だと笑いますか?

第16節 vs札幌 〜2ステージ制が良かったかもしれない〜

まず、この手の話題をするにあたり私は謝らなくてはなりません。今年の柏レイソルはかなり苦しむと思ってました。まさかシーズンを折り返そうかという時に首位に立ってるとは思いませんでした。申し訳ございません。

1位が柏、2位がセレッソだなんて、1994年のJFLかよ!と言いたくなるような今シーズンですが、正直信じられないような展開です。進まない補強にヤキモキしてたシーズンオフの時期に未来人に「大丈夫、半年後は首位だから」と言われてもそいつを無視したに違いないはず。しかし無視されても未来人は喋り続ける。「このチームには細貝萌が加わり、さらにキム・ボギョンも来るぞ…」うるせえ去年なんかブラジル人に散々痛い目に遭わせられた挙句エメルソンが来ると言われたんだぞ…。

下馬評だけはやたらと良いがここ最近は何度やっても上手くいった試しがないブラジル人トリオはハモンの負傷によりあえなく頓挫。そこから点は取れないわ守備はひどいわの状態になった時はほれ見ろ。ちゃんと補強もしないでアジアとか言うからこうなるんだバカタレとか言ってのは遥か昔。色んなメディアにも書いてあるように、そこから中川や手塚を起用して、ハイプレス戦術に早い段階で変えたことが功を奏しまして、浦和相手にさえそのハイプレス戦術を貫き倒して勝った時には今年は強いぞとさえ思うようになっておりました。そうです。熱い手のひら返しとはこのこと。

ただ次の甲府戦は引いてくる相手を崩せずにスコアレスドロー。引いてくる相手にハイプレスもクソもないことを思い出させてくれました。強いチームというのは研究され、対策されるのは宿命。そういう意味では今節の札幌戦は'08-'09のハル・シティ*1にならずに'15-'16のレスターになるためにも大事な大事な一戦だったのです。そんな中、下平監督は目標をACLから優勝へと切り替える宣言。そんなこと言っていいのかこれはフラグにしか見えないぞ…。

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そんな心配をよそに突き進む柏。身長で勝りクロスを次々跳ね返す札幌でも守備陣に対し華麗なパスワークから中央突破を仕掛けペナルティで先制。前半のうちに優位に立ちます。でも究極の結果論を語ってしまえばこのまま勝ってはいけない試合だったのかもしれない。後半、徐々に相手のFWにボールが入り始めると徐々にピンチが増え、フリーキックから同点に。
そうまさにここからが正念場。連敗阻止のため守りに入り始めた札幌を相手に手を焼く柏は、前節より15分以上早いタイミングでオリヴェイラを投入。インタビューで語った「目標は優勝」のため、勝ち点3を貪欲に取りに行く姿勢を明確にした結果、84分にオリヴェイラが決勝点。見事勝利を収めて首位キープ!めでたしめでたし。f:id:zeroplusalfa:20170629074753j:image

正直オリヴェイラを15分早く投入するのなんて、内心甲府戦でもできたんじゃないかと思う自分はいるけれど、控え選手が途中交代で活躍して曇りかかった視界を晴らすための打開策を見出す。それによって選手も監督も成長する漫画みたいなストーリー性を持つ試合でした。

 

そして優勝と監督が言うのであれば、「あの頃」のチームと比べざるを得ない。2011シーズン、ネルシーニョに率いられ再昇格1年目で優勝しちゃったあのシーズン。果たして下平レイソルは優勝できるのか。シーズン前に残留争いを予想していた自分に言わせりゃそんなの無理だよと言うのはお腹が空いたらご飯を食べるくらいに明確でしょうが、さすがにそれだけじゃ説得力がないので、采配と選手層な柔軟性の2点で適当に比べてみます。ちなみに先に言っておくと僕はネルシーニョ信者でもありませんが、思い出補正は激しい方のタイプです。

采配面。ネルシーニョの時には、自分が「あそこが悪いからここを替えよう」と気付いた時にはピッチ脇に交代選手がいるような采配が多かった。やはりあれに慣れてしまっている以上、今の下平采配は遅いと思う事も多々ある。まあシモさんより決断の遅い監督もたくさんいますが。
ただ下平という監督は、ネルシーニョが百戦錬磨の名将だとすれば、まだまだ若手新鋭のフレッシャーズであることを忘れてはならない。それは今節のように試合を重ねることに目に見えて成長し続けている勢いに無限の可能性を見出せることでもあり、優勝争いをするにつれ重くなるプレッシャーや、勝ち点をシビアに争う難しい試合の経験値がないことを2つの意味を持ち合わせている。今後札幌戦や甲府戦よりも難しい試合なんてたくさんあるだろうし、それに直面した際に乗り切れるだけの打開策を監督として持ち合わせるまでに成長できているかどうかを考えた時、ネガティヴな人はネガティヴに考えるだろうし、ポジティヴな人はポジティヴに考えるんだろう。

選手層。正直どう見ても鹿島とか浦和とかガンバとか東京の方が強そうに見えるんだよなあ…。ただ現に手塚のような経験の無い選手が活躍できてる状況を踏まえると難しいお話であるし、もはや経験値やネームバリューだけで優劣をつけることはナンセンスかもしれない。ただ残念ながら、ミッドウィークの天皇杯を戦いを観た時に、選手達の「頑張らないとスタメンを維持できない」というインタビューでの発言とは裏腹に「なんでこの人たちは控えなの?」という疑問を持つ回数は少なかった。これじゃ競争どころか今のスタメンのどこかの誰かが欠けた時に、補える選手がいないのと一緒だ。まだ半分以上あるシーズン、夏場を迎えるにあたり今節でいうオリヴェイラのような選手が週替わりで出てくるようじゃなきゃ優勝なんてできないと思う。課題ですね。まあそのためのキム・ボギョンなんだろうけれども。

以上。もちろん自分の好きなチームが優勝すりゃ最高だけど、他にもっとシーズン前から本気で優勝を狙ってるチームがいるという困惑と、なめプな補強をしてクソみたいな言い訳をしたフロントに勘違いしてほしくないという変な正義感が働いているのが正直なところ。もちろん選手達にはそんな雑音は全力で無視してひた走って欲しいところだけど。f:id:zeroplusalfa:20170629074930j:imagef:id:zeroplusalfa:20170629074938j:image
今後については、大げさなこと言ってみせると大谷、栗澤、細貝とき優勝の味を知るベテランボランチ三銃士がどうチームを引っ張るのかが今後キーになる。秋頃に栗澤は誰を殴るのかにも注目。

去年は大谷が怪我して歯車が狂い、オリヴェイラが怪我してシーズンが終わった。「調子の良い選手を使う」とシモさんは語ったけど、それは消去法なのか、迷いに迷ったものなのか、それなら果たして勝ち続けていてもスタメンを変える勇気はあるのか。この間までプランAしかなかったチームだけど、来週にはプランCまでできているかもしれないし、できていないかもしれない。週に一回試合を観るだけの人間じゃそこはどうなっているかわからない。ただレスターがプレミアで優勝してしまった以上、そんなのまぐれだと笑い飛ばしきれないのかもしれない。確かにそう言われてみれば成長著しいこのチームからは目が離せない。1人のファンとしてより良い結果が出るよう願っております。

*1:昇格初年度で一時3位になるも、結局は残留争いに巻き込まれた