That Means A Lot

幻想とじゃれあって 時に傷つくのを あなたは無駄だと笑いますか?

第20節 vs神戸 〜すごい奴がやって来た〜

人々がスタジアムに行く理由はもちろん、フットボールを見に行くためである。ただ知っての通り、日立台は普通は満員にならない。アウェイ側が全部埋まってホームに券が余って10300人くらいになので、純粋に柏のフットボールが見たいという人は8000人いないのだろう。満員になる時というのはせいぜい年に3、4回あるくらいで、理由としては2つ。対戦相手が鹿島、浦和の近郊大サポーター軍を擁するチームで、ビジターサポーターがバックスタンドのアウェイ側に忍び込んでいるパターンと、相手に有名選手がいるパターン。この場合はガンバ、セレッソによく見られる。

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日立台に君臨したポドルスキー。アップ時のシュートはやはりすごかった

 

今回の神戸戦も昨日で後者の仲間入り。ルーカス・ポドルスキーというワールドカップ優勝メンバーという超ビッグネームの襲来は、いつもホーム側もほぼ全席種券が余り、アウェイ側の半分も埋まらずにスネアの音しか聞こえてこない神戸戦のチケットを完売させてみせた。ざっと3000人くらいは「ポドルスキーが来るから行こうかな」という感じだったのだろう。f:id:zeroplusalfa:20170807230720j:image

ビジター側を埋めたポドルスキー応援団。ドイツ代表ユニやアーセナルユニの方が見える。橋本和弾幕が剥がれてる…

 

神戸側でアーセナルやドイツ代表のユニを着た人もいたくらいだから、本当に純粋にポドルスキーを見たい人も多くいただろうけど、いつものように日立台に集結した柏ファンの多くはフォルランの時のように、「ポドルスキーなんて大したことなかったぜ!」と己の目で確かめるために来ていたはず。

果たして試合は、柏のファンの願いどおりの展開になった。強い黄色は柏だけで十分だし、強い臙脂は早稲田だけで十分なのである。結局ヴィッセル神戸はどんなに(元柏の)いい監督が率いようと、どんなに(元柏の)いい選手がいようと、ヴィッセル神戸であった。ああやってチームを引っ張るベテランがルーキー相手に蹴りを入れて退場している時点で強くなれるわけがない。まぁ主審も下手くそだったかもしれないが、あの行為自体はヘタもつかないただのクソである。神戸戦はよく荒れるイメージがあるけど、あれで柏戦通算3度目の退場ということなので、ほぼ彼によるイメージづけが見事に成功していたことになる。

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同点ゴールに絡んだオリヴェイラクリスティアーノ

 

それでも野球大国なこの国のスポーツ紙は「ポドルスキ不発」と騒ぎ立てる。不発じゃないんだ。柏に押さえ込まれたんだ。柏に負けたんだ。ただそのお株を奪ったクリスティアーノの弾丸シュートも、将来の日本代表を背負う中山の芸術的なシュートも触れてくれるところは少ない。中学時代にサインを貰った数年後にプロになってマッチアップして抑え切ってしまった中谷なんて、野球界でこんな話があったならスポーツニュースで特集が組まれてことであろう。

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中谷の秘蔵話を聞いていた三須リポーターもナイスである

 

 

別にだからマスコミはダメなんだと言いたいわけではない。伝えてくれないなら見たことを誇りにして自分たちで伝えていくしかない。味方が退場して孤立し、暑さにうんざりしてのこのこ歩いてた神戸の10番を。「ポドルスキたいしたことねえぞ」「ポドルスキよりうちのクリスティアーノの方がすごいぞ」「中山と中谷ならワールドカップ優勝メンバーを抑えられるんだぞ」。確かに暑かっただろう。まだチームにフィットしてなかったのかもしれないし、判定に納得がいってなかったのかもしれない。ただ、そういう不都合なことは耳を傾けず、自分らの都合のいいことだけかき集めるのがサポーターというものであり、特権でもある。f:id:zeroplusalfa:20170807230543j:image

この日は日立デー。99%の大株主への圧巻の愛。

 

ただ、どんな試合であろうと、勝ってもらえる勝ち点は3である。水曜には超フィジカルモンスターのイバルボがやってくる。おまけに手塚が離脱。この試合で勝てるかどうかが今後に向けて大切…。そう。上を目指すチームに大切ではない試合などないのである。勝ってほしいな。