That Means A Lot

幻想とじゃれあって 時に傷つくのを あなたは無駄だと笑いますか?

勝てないぜ…強豪詐欺

サイバーエージェントが町田を買収する。そんなニュースを見た。今年は昇格争いに絡みながらもJ1ライセンスというふざけた制度により昇格ができないという憂き目に遭っているが、それらの問題に解決に向け動き出す…。そんな内容。

「隣の芝は青く見える」とはよく言ったもの。愛するクラブとどこかの石油王に買収されるというニュースを見て笑いながら驚きそして悩んでみたい。誰もが一度は描く餅。しかし柏レイソルを心のクラブとする人々は、その妄想が虚しいものであることにすぐ気づく。スタジアムも練習場も親会社の土地にJリーグを目指し始めた頃には既にあり、株の99%を親会社が所有する半ば実業団や部活みたいなチームのファンが、そんな戯言を抜かすのは笑止千万。貧乏クラブを応援する人からは贅沢や我儘を超えた何か別の言葉で罵られるべきであろう。

しかし、戯言を垂れているだけならまだしも、黒船DAZNマネーで潤い、文明開化の音がするJリーグを舞台に、全力で降格へ舵を切るチームがあることを知っておいてほしい。何を隠そうかそれこそが今の柏レイソルサイバーエージェントの参入、ポドルスキーイニエスタ、リージョにはじまる楽天マネー、トーレスの獲得、シティグループの日本上陸、mixiの胸スポンサー契約、高田社長のビジョン…莫大な資金を武器にでどのようにチームを強化していこうかというニュースがSNSを賑わす中、柏レイソルだけは置物と化した監督を据え、選手たちが分析、戦術を組み立てて試合をしているのである。「柏フットボールジャーナル」のここ数日の見出しを並べてみれば、その目も当てられない有様が浮かび上がってくる。

「現状を変えるには、選手が自分たちから発信するしかない/J1 第27節 柏 vs 鳥栖【プレビュー】」

「責任の所在をはっきりさせなければ、同じような試合を繰り返すだけ/J1 第28節 浦和 vs 柏【レビュー】」

「修正を施すトレーニングメニューはなし【フォトレポート】-無料記事-」

繰り返しになるが、これは貧乏クラブの話ではない。かつてバロンドール受賞選手を擁し、その後も数億円かけて獲得したブラジル人ストライカーを、数試合しか使わずに放出するほどのチームである。ほんの少し努力すればスペイン2部あたりから有能な指揮者は引っ張ってこれる資金を持つチームの話だ。そんなチームを最近どこかで見たと思ったが、「激レアさんいらっしゃい」のドラマの岡野雅行の話だった。要は不良ヤンキー高校の部活がやってのけたことを日本のトップカテゴリのフットボールで資金豊富なチームが体現しているのである。もはやこれは新手の喜劇か何かか。マリー・アントワネットは「パンがなければケーキを食べればいい」と言ったが、今の柏レイソルは「パンもケーキもあるけれど、庶民の味が味わいたくてキャベツ太郎が食べたいわ」と言うようなものである。それならば「パンもケーキもあるけれど、キャビアが食べたいわ」という私の方が幾分かマシだと言いたい。

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先日の浦和戦で善戦虚しく(観ていないが)敗れ、いよいよというか漸くと言うべきか、自動降格圏へ転落した。しかしクラブはまだ置物監督を変えようという動きはない。きっと日立より出向の社長の面目が潰れてしまうから稟議がおりないのであろう。ただし鳥栖戦あたりからは、クラブのバンディエラ・大谷をスタメンに戻し、スペイン帰りで熱い忠誠心を魅せた鈴木大輔の加入が実ってテコ入れがされ、腑抜けた試合はしなくなってきた。ただ逆にこのせいでただ闇雲に監督やめろとか、こんな有様ならJ2落ちるぞとか、罵詈雑言を日立台の駐輪場に吐き捨てて済む話ではなくなってしまった。ピッチに目をやれば必死に走り、戦っている選手の頑張りは十分に伝わる。しかし我武者羅にやれば勝てるほど甘い世界ではない。気持ちが空回りし結果に結びつかない時に漂う香りこそ、残留争いの香りである。9月22日、鳥栖戦の終了後に香り胸を締め付けたのは、金木犀の香りではなく残留争いの香りだった。きっと前日の雨の埼スタでもよく香ったはずだろう。だからこそもどかしく、虚しい。しかし、残り10戦を切っている中、そんな状態で大丈夫なのだろうかとは思ってはならない。

一応弁明するが、歪んだ愛情を表現しているだけであり、もちろん降格しろとは思っていない。しかし昨今の状況を見ていると、降格にふさわしいのは紛れなく柏である。初めて降格した2005年、クラブハウスもなく、練習場を転々としていたヴァンフォーレ甲府の実情を知った時は、そんなチームがこの世にあることに驚いたと同時に、そんなチームに負けてたまるかと小学生ながら思ったものだ。練習でニワトリを追い回し、サポーターが選手に泥水をかけていたとはいざ知らず、無知だからこそすがるものがあった。しかし時はたち、小学生だった私も社会人。取得できる情報の量も、処理できる情報の量も違う。知れば知るほどもう縋る藁すらない。黒船DAZNの上陸した今のJリーグにはもはやこんなふざけたドタバタ劇を演じるクラブに与えることのできる枠などないはずである。

そしてクラブ、サポーターともに掲げるスローガンは「柏から世界へ」。果たして何の世界を目指しているのだろうかとは思ってはならない。スタジアムに行けば監督にブーイングもなければ、負けても拍手。下平にはブーイングしていたのに。挙句はカップ戦を獲りにいこうという横断幕も掲げられる。これだけの状態なら、そこにはさまざまな感情が入り混じるのがスタジアムの雰囲気のはずだと思うのだが、どこかのほほんとしている。きっとおかしいのは私だけなのであろう。フェスだアイドルだ、娯楽に溢れるこのご時世なのだから、気に入らないのならば出て行けば良い。どこの界隈でもありふれた光景。雑言をネットの世界へ放流し厄介な客が減るのであれば、願ったり叶ったりなはず。

もはや2005年、2009年の苦い思い出を踏まえて危機感を煽り、ネガティブなことを垂れ流す人は必要とされていない。今のチーム状態を知り、悟った上で、じたばたもがく代わりに叫び跳ねる人間こそ、今の柏には求められているのである。クラブとサポーターが求めるのは盲目的な相思相愛で一心同体となり、世界世界と叫び駆けつけ、声を枯らして叫ぶ人たちである。

しかし本当にクラブは万策尽きているのだろうか?悟らせる前に打てる手はないのか?これらの心配は一切ご無用。きっと勝利こそファンサービスと賜ったクラブに、最高の試合でも最低の試合でも追いかけると宣言したサポーターの相思相愛ぶりをもってみれば、こんなネガティブな感情などすべて杞憂に終わるはずだろう。逆神になれるなら喜んでなってやる。頑張れ!柏レイソル