That Means A Lot

幻想とじゃれあって 時に傷つくのを あなたは無駄だと笑いますか?

アンジュルムは大きなLOVEでしょ!(五月パンタレイ計画 #3)

ハロプロ プレミアム アンジュルム コンサートツアー 2019春 ファイナル 和田彩花卒業スペシャル 輪廻転生 ~あるとき生まれた愛の提唱~」

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卒業発表から1年以上経っているのに、心の準備が全くできず、半ば時間切れのように迎えた6月18日。アイドルのコンサートを観る前でも観た後でも、こんな妙な気持ちになったのは初めてである。

私はアンジュルムを好きになったので、正直、スマイレージは後追いで勉強しただけである。その頃から観てきた人に比べられるとその思い入れの差はどうしようもない。それでも語彙力を捨てて表現するのであれば、この日私達の前に現れたあやちょは、失うものをなくし「愛に満ちて最強」の状態だった*1。ステージに立つ彼女は、時にはアイドルスマイルで、時にはカッコよく、時には悪ガキのような顔で笑っていた。「それじゃわからない!どれだけすごかったの?」と聞かれるのであれば、「アンコール明け、『ぁまのじゃく』を歌い終えた彼女を見届けるために10000人が自然と黙ってしまうほど凄かった」と答えよう。花道を歩く時、二階席まで足音と、板が軋む音が聞こえるほど静寂に包まれた時は鳥肌が立った。空気を読むわけでなく、自然と声が出せない。きっと「厳か」ともまた違う。それこそ武道が本場の神聖な武道館という場所の性分に立ち帰れば普通のことかもしれないが、アイドルのコンサートである。10000人が固唾をのんだとか、意味なんて後からじゃいくらでもつけられるのだろうけど。何を書いても薄っぺらくなりそうなのでもう表現を放棄する。

幕が開いて出てきたメンバーの顔が、このツアーで観た仙台や千葉とも全然違って、(特に初めて卒コンを体験するかっさー以降)これまでに見たことないような顔つき。オープニングナンバーの『赤いイヤホン』は強い女性を打ち出した曲だから凛とした顔つきでキメる曲なのだが、表現するなら「どこか唇の端を噛み締めたよう顔つき」。妙な気持ちで入ったのはメンバーも一緒なんだなって思いながら観ていた。近頃めっきりやらなくなったスマイレージナンバーを挟みながら、たくさんの意味を持つ曲を歌うそのセットリストはそれこそ晴れ舞台そのものであった。ただその晴れ舞台は他のメンバー、観客を合わせた10000人には険しすぎるタスクで、最後まで笑って歌って踊れていたのはあやちょだけ。

アンジュルムの魅力の1つに、コンサートで見る事ができる「強さ」とか「カッコよさ」とか「中性的」なものにあると私は考えているのだが、その点から見れば、昨日はやたらと「人間臭い」コンサートであったかもしれない。自分の中でもそうだが、いつしかそういった強さへの期待が青天井になっていたから、「なんで辞めるんですか!」と怒った桃奈や、場面を変えながらもあんなに泣いた二期生に驚いたのだろう。特にスピーチの後でタケが子どものようにあやちょの肩で泣いて、最後は「安心して卒業しないでいいんで。もうずっと心配していてください。そしたらわだちょがいつでも見てるって私も思って、がんばります」という言葉が刺さって抜けない。ふと思い浮かんだものなのか準備してたものかはわからないが*2、そこには大きな愛があった。母と慕うあやちょから巣立ったばかりのアンジュルムそのままの言葉なんだろうなと思った。

zeroplusalfa.hatenablog.com

手前味噌ではあるが、あやちょが卒業を発表した際に、「アンジュルム和田彩花から卒業する」といったことをわかりづらく針小棒大に書いたことがあった。他のメンバーが子どものようにびーびー泣いてる一方で、終始ニコニコしているあやちょ。この構図だけ見るともはや誰の卒コンだかわからなくなるほどであり、SNSでは卒業式というよりは離任式のようだという声に納得。それでも転がる石であるアンジュルムはまた前を向く。ここで歌えないと締まらないと涙をこらえ、歯を食いしばり歌い上げるメンバーの姿*3の意地にこそ魂を感じた一夜でもあった。「またどん底に戻らないよう」これもタケが泣きながら話した言葉だが、プレッシャーであり不安だと思う。けれども第二章はとっくに始まっていて、もう夏からはツアーが始まるし、本当に苔をつけずに転がり続けるみたいなので、どうなるか愛をもって見てみようと思う。

「今日も明日も来週も来月も 愛を持って生きるんだ」

1年以上というやめると言った人に活動を続けさせるには長すぎる時間があったので、インタビューやMCで卒業の理由を目や耳にする機会はたくさんあったが、私は正直納得いったことは一度もない。基本自分に甘い人間なので、10人で一度完成し、12人になっても上手くやってるアンジュルムを見ると「辞めなくていいじゃんと」しか思えないし、「どう見ても他に理由があるじゃん!」といまでも疑ってさえいる。それでも撤回しないので、もう途中からは菊池亜希子氏がインタビューで語った「心の修行」という言葉で置き換えるようにしていた。それでも、辞めると宣言したブログから昨日のスピーチでも彼女の話すことはブレなかったし、今後バラエティでヘラヘラと裏事情を暴露するあやちょは見たくもない。

「女の花盛り ここから始まるの」

これまでのアイドルの概念を超えるようなアイドルになりたいという言葉は、彼女ならこれから姿で示してくれることを期待しています。

*1:いつも最強ではあるのだが

*2:ラジオでもコンサート中の煽りでも、いつも何も考えてないと言うが

*3:「交差点」のむろ、タケ、「夢見た15年」のかみこ