That Means A Lot

ゆとり世代にゆとりなどない

赤い公園を聴く

「まともな運営」。何かしらのグループやチームを応援し、深入りした者ならば、この言葉は「平和な世界」と同じくらいナンセンスな言葉だとわかってくれると信じている。

私の中でカントリーガールズの「解体」は、アンジュルムの終わりの見えない卒業ラッシュと、始まりの見えない「第二章」に抱いた不信感を揺るがないものにしてしまった。とにかくハロプロから距離を置きたい!曲も聴きたくなくない!とはいえいざ距離を置いてみると替わりの朝のアンセムを探さなくてはならぬ。こういう時はApple Musicを彷徨うに尽きるのだが、目についたのがこのカメレオンのジャケット。ー赤い公園「消えない」。

名前はなんとなく知っていた。あの「LOVEマシーン」の再来とも言われた「泡沫サタデーナイト!」の作曲者の津野米咲(つのまいさ)さん擁するグループである。津野さんの名前が読めず、しかもどっちも今らしくない名前だったので(失礼)、てっきり70年代にヒット歌謡を連発したデュエットかなんかと思っていた。歌謡グループが新曲?と思って聴いてみると、イントロからかき鳴らされるギター、疾走感を掻き立てるドラム、ドンシャリイヤフォンに響くベース。これはオルタナティブロックなのか。要はガールズバンドだったのである。

何度も励ましてくれた
お気に入りの曲が
初めてうるさく感じた
行き止まりの夜の中

出だしでびっくり。数日前の心境そのまんま。そして終始カッコ良い。そりゃ道理で昭和歌謡アーティストかと思って話しかけてもうちの母親は知らないわけだ。

続く「Highway Cabriolet」の優しくて切なくて、耳に残っていくサウンド。これもめちゃくちゃカッコ良い。

そうとなればどんどん聴いてみるのはオタクの性かプライドか。聴きあさるうちに2019年の中でいちばんのアルバムに出会った。「熱唱サマー」(なおリリースは2017年)。もう今は2019年なのに。秋なのに。

良いアルバムというのは、穴のない打線に例えられるはず。怪我人のいないホークスの打線と対峙した時に「これどこで抑えればいいんだよ…」というあの心境。あれをアルバムで味わえたらそれが名盤であり、「熱唱サマー」はまさにそれ。全部の曲をApple Musicのradioで聴いた後にこのアルバムを聴いたので、これもこれもこれもこれもこのアルバムなんか〜!うひゃー!というこの感動を味わっていた。

中でもこのアルバムの3曲目の「AUN」という曲がお気に入り。電子音が入るイントロからポップな曲調の割にはテーマが「別れ」。その割にはどこかあっけらかんとした曲調に新鮮な違和感。その歌詞に

その手を握ると強くなれたんだ

なり過ぎたんだ

ちょうどいい君がもういない 探せ探せど代わりがない

というのがある。少し調べたらわかる話だが、このバンドはボーカルが変わっていて、本作は前任の佐藤千明さん在籍時最後の作品。時にパワフルで、時に繊細で、時に甘い彼女の声がこのアルバムをさらに良いものにしているので、ほんの今興味を持った人間からすると疑問を抱いてしまう。公に出てる声明はざっくり言って「音楽性の違い」に分類されるもので、ならばこのアルバムは本来このバンドが満場一致で目指したサウンドではないのかとか考えたくなるが、そうすると私は「赤い公園」の音が好きなのではなく、「熱唱サマー」の音が好きということになる。リアルタイムで聴いてない世代がQueenのあの「Hot Space」を聴いて良いと思うのと似てるようなもんなのだろうか。とにかく、どこかあっけらかんとした感じがこのボーカル脱退と関係してるのかなと考えちゃうけれど(津野さんは本人はスタッフの離脱と語っている)、ほんとうの理由なんて、きっと知りたくても知り得なかったり、わからなかったり、知らないほうがよかったりするんだろうし、もうそういうのは考えないようにする。考えなくていい気がする*1。だいたいして応援してるアイドルでそればっか見てて嫌になったのに。

stock-flock.hatenadiary.org

ということで、新しいボーカルに元アイドルネッサンス石野理子さんを加えて最初のEPが「消えない」だったとのこと。アイドルネッサンスは名前を聞いたことはあったが解散してたとは視野が狭くなったものである。それにしてもボーカルに元アイドルとは双方にとっても勇気のある決断であろう。楽曲はまだこのEPしかないけれど、ライブはバシバシ新曲もやっているようで、果たして新しい赤い公園サウンドがどう変わるのか。さらにはまっていくのか。始まっている第二章。早く聴いてみたいし、一回観てみたいものである。

奇しくも結局アンジュルムと同じくこのバンドも「第二章」となった方たちでしたというお話。鈴木愛理さんとも一緒に曲を出していたり、石野さんはアクターズスクール広島で段原瑠々さんと一緒だったり、アイドル要素と縁が深いバンドらしい。そんな縁も「消えない 消せない」のか。ともあれ、赤い公園のこれからも楽しみにしていようと思いました。

さよならなんて簡単な
言葉に詰まるのはなぜ
終わらせたっていいけど
終わらせるなら今だけど

しかし、一通りの曲を聴いた後で「NOW ON AIR」のMVを観ると女の子全開でびっくりする。曲調からしてどう見ても「柄じゃなさそう」なのは、わざとなのか、やらされたのか。

*1:ポルノグラフィティtamaが抜けた本当の理由を聞いたときに、よ〜くわかった。