That Means A Lot

幻想とじゃれあって 時に傷つくのを あなたは無駄だと笑いますか?

映画「あの頃。」を見て、青春について考える。

映画「あの頃。」を観てきた。アイドルオタクの映画なんて、曲がりにもアイドルオタクをテーマに卒論を書いた人であれば、卒業して何年経っても必修科目のようなものだ。

phantom-film.com

あらすじを簡単に記すのであれば、主人公の劔さんが友人からもらったあややのDVDをきっかけに、ハロプロオタクになり、出会った仲間たちとの日々のお話。

果てしなく上から語るのであれば、「全く裏切らない」。まさか松坂桃李さんがあんなに華のないオタクに見えるとは。はじめてオタク仲間の輪に入る場面、握手会ではじめて推しを目の当たりにしたときのド緊張(あややを演じた山﨑夢羽さんがそっくり!)、卒コンの熱狂と切なさ…。中でも学生時代とは違う、オタクという大人同士の人間関係の距離の取り方の描かれ方はこの映画の肝ではなかろうか。各場面で現場のニオイがスクリーンの向こう側から伝わってきそうなほど濃厚。もういっそのこと4DXでやってほしい。臭さで悶絶したい。

推しを崇め、楽しむことを一番とし、多少の面倒は笑いへと昇華させる。そこに職種、学歴、年齢の垣根はない。ハロオタは推しの元での平等が保証され、大の大人がはしゃぐその様は、一見青春のようで青春でないと思うかもしれないが、れっきとした青春であることに気づかされる。

私ら 死ぬまで ずっと青春!

「死んだら、どうなるんですか?」

「それでも、青春は続くんだ」

−青春ガールズ / AKB48

映画を見ていてふと浮かんだのはこのフレーズであった。まさかのAKB。

高校時代から大学3年までのめり込んだ48グループこそ、自分にとっての「あの頃。」なのかもしれない。「青春ガールズ」と聴いて思い浮かべるのはオリジナルのTeam Kではなく、NMB48の研究生で、DMMの配信で見たときにすごく可愛いと思って推しはじめたのが松村芽久美さんで、のちに推す石田優美さんもいて…。そもそもNMB48にハマったのは大学1年の冬に(以下略 *1

こうやって聞かれてもいない自分語りを初めてしまいそうな、映画にしては妙ちきりんな反動を生みかけるが、この映画は「あの頃。」というタイトルを名乗っておきながら、主人公の劔さんは終始、今がいちばん楽しいと言い続けている。死ぬまで青春、死んでも青春。現実とムキダシで向き合ってもそう胸を張れるのであれば、学生時代を懐古するツマラナイ大人より、アイドルオタクはカッコ良い。ずっと憧れのままで実現できていないが、本気でバカになるって、実は本気でカッコよくなることと同じようなもんで、とっても難しい。

いうまでもなくハロプロ好きにはもちろん。何かしらのコンテンツにハマっている人、ハマったことがある人、そして何かコアな現場でネット上で知り合った人と会った人はなおさら楽しめる。そんな素敵な映画である。

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他のところではおっさん以外のイマドキの人は「花束みたいな恋をした」の客だったという話も見たが、阪急西宮ガーデンズの映画館は、夫婦やカップルが多かった。なぜだろうか。

*1:聞いてない 誰もそこまで 聞いてない