元号が変わって初めての月、マンス・オブ・メイ*1は思えばアンジュルムファンにとって夢のような1ヶ月であった。むしろこの先これほど充実した月は来ないのではと気づいたのは5月31日の昼を過ぎてからである。絶頂というのはそこから少し経ってから初めて気づいたような気づいていないような。わかるようなわかりたくないような6月の始まりである。
などという主観を垂れる前に、私の過ごした5月を時系列で振り返るべきであった。
5/4「アンジュルムコンサートツアー春〜輪廻転生〜」仙台公演昼に参戦
5/9 ツアーの時に買った「アンジュル部」を観て、腹を抱えて笑う
5/15 アルバム「輪廻転生」のリリイベを覗く
5/16 アルバムを聴きこむ
5/24 アンジュルムックを手に入れる
5/25 「アンジュルムコンサートツアー春〜輪廻転生〜」千葉公演夜に参戦
好きなアイドルがいれば、曲を聴き、動画を漁り、ブログを読み、たまにコンサート、接触と、それなりにアイドルに触れる毎日を送ることとなる。彼女たちは48や46のように第一線で毎週テレビに出てはいないので、たとえ半年シングルが出なくても、その間に46億年Loveを200回以上再生して過ごすし、ダイオウグソクムシのように、ハロステやガールズライブでの少ない養分で生きていけるものである。*2
そんな人が先述のような、毎週何かしら新しいものが出る日々を過ごしてしまい、(事前の予想通り)消化しきれなくなっていた。ようやくそれらを平らげたのが5月の終わりであるが。同時に入った和田彩花の卒業コンサートの落選という受け入れがたい一報に、ただぼんやりと立ち止まっている。
でもせっかく立ち止まったなら、ここまで駆け抜けた道をそっと振り返ってみようと思う。消化しきれていないのなら、反芻するのみである。喉元過ぎれば熱さを忘れる。人間、忘れてしまう生き物であるというのなら尚更である。まずはアルバムから。
輪廻転生~ANGERME Past, Present & Future~(初回生産限定盤A)(特典なし)
- アーティスト: アンジュルム
- 出版社/メーカー: アップフロントワークス
- 発売日: 2019/05/15
- メディア: CD
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「輪廻転生〜ANGERME Past,Present & Future〜」
3年半ぶりである。アイドルにとって3年半はあまりにも長い。今か今か今かと待ちぼうけ、伸びきった首のしまいかたを忘れかけていた。
「アンジュルムになってから今までを全て」をつめこむというワガママボディなそのアルバムは、下手な英和辞典のように分厚くなったが、ベスト盤の顔も、アルバムとしての顔も持ち、新曲が10曲近くあるという大盤振る舞いでもある。アイドルにとって新曲というのは、普段のシングルではせいぜい2、3曲の新曲が年間3枚程度しかなく、アルバムが出てもシングル曲集の後ろに取ってつけたように1、2曲しかないことも普通と考えると、いかにスッペシャルかおわかりいただけるだろう。
本来から各曲の感想を、ライナーノーツよろしく書き下ろすのが普通であろうが、ファンが偉そうに語る前に、作曲者がブログに曲の説明を書く時代となったのでそちらを参照されたし、それを見ながら聴くのが一番良い。これを本末転倒と言わずにどうする。
「アンジュルムサウンド」の代名詞となりつつある星部EDM組曲を抜け、シングルをくぐり、アイドルと「なんちゃってロックナンバー」の不親和性は相変わらずだが、『帰りたくないな』から、ジャパニーズジャミロクワイナンバーの『いとしいとしとSay My Heart』『もう一歩』『人生、すなわちパンタ・レイ』の軽やかな流れは、「スマイレージ/アンジュルム楽曲大賞*3」の選考員である私を悩ます要因ともなるだろう。児玉ユニット組曲では、脳内で多様な表示を浮かべ歌って踊らせるのがまた楽しく。『わたしの夢見た15年』でしんみり複雑な気持ちを「結局はラブ」でまとめこむ。
「そうだハロプロなめんじゃねえ。」「本気で作られたら本気で聴くしかない。」「いろんな曲があり、飽きない。」「輪廻転生をまとめ、とても良く仕上がっている。」「時系列に並べたベスト盤の構造に新曲を取ってつけたようにするのではなく、曲順を考えた作品として仕上げたことが驚きかつ、ありがたい。」とは全て私の評であるが、良曲をこれだけ恵んでくれた人たちに感謝感激でございます。
アンジュルムックが彼女たちのそのままの姿を切り取ったもの、飲み物でいうストレートだとすると、このアルバムは逆に濃縮還元のジュースといったところ。蒼井優さんと山里さんの結婚のニュースに励まされた方は、是非手にとってほしい一枚である。
しかも初回限定版Aでは去年の秋ツアーの電光石火のブルーレイまで付いてくるのだ。すでに半年前の彼女たちでさえ、今より古い状態であるのだが、10人体制でひとつの完成を見た姿を拝める保存版。一通り観た後はどこかスポーツの試合を垂れ流すスポーツバーのように、家に帰ってからビール片手に嗜んでいる。